lundi 16 octobre 2017

「エシャッペ・ベル」というレースについて


エシャッペ・ベルは、特別なにスケールの大きいレースである。普通のトレイルランとは比較で きない。その厳しさを例えるならその景色の美しさと同じくらいの高いレベルだ。ベルドンヌの 山岳地帯の草原に点在する岩場を縫って走るコースである。休みなくただただ上りと下りの連続 だ。そして岩、岩、岩との戦いだ。 
この世のものとは思えない美しく荘厳な景色と興奮を心ゆくまで味わいながら、ひたすら岩や砂 利と格闘する。非情な苦しみと喜びが入り混じる、聖なる岩場の世界へようこそ、地獄と天国の 入り口である。
気を緩めることが全くできないコースというのは技術的に非常に厳しい。高低差との戦いが続き 緩やかなランで呼吸を整えることが全くできないからだ。体も心も緊張しっぱなしの144kmを走 りきってのゴールは何とも言えない歓喜の瞬間となる。 
参加するランナーに違を唱える者は誰一人といないだろう。フランスのトレイルランナーが参加 を夢見る大レース、それは世界に名を轟かせるUTMB(ウルトラトレイルモンブラン)とそして このエシャッペ・ベルだ。 このレースに出場するにはポイントを獲得しておく必要はない。このインテグラルレース(144 m、高低差11000m)、北部横断レース(85km、高低差6050m)、山嶺レース(47km、高低 2800m)の壮大なコースを走りたいという思いさえあれば、誰でもエントリーが可能だ。600 人という、UTMBより小規模でアットホームなレースである。 
たった5年間で既存の有名レースと肩を並べる名声を手にいれた。そして実際にその名声に恥じな いレースとなった。私も自らそれを体験し、今はただ完走するためにもう一度参加したいと望む のみである。フランスでのトレイルへの初参加に向けて壮大な目的が欲しかった。そしてこの レースはそれに値するものだった。完走という目的を果たせず悔しさは残るが、しかしこの挑戦 は自分が求めただけの価値あるものだった。改めて目の当たりにした祖国の美しさ、それは何に も比べることのできない素晴らしいものだった。フランスの山々はなんとも麗しい。 
ここで敢えて言っておくが、トレイルの世界チャンピオン、シルヴァン・クールがUTMB171 m)を19時間でフィニッシュしたのに対し、エシャッペ・ベル(144km)は28時間をかけてい る。望月省吾は30時間もかけている。このレースには相当の覚悟が必要なのだ。 志し新たに日本に戻った僕は、美しい地域や国を体験するには、このような壮大なレースに参加 するのが何よりの方法だとしみじみと感じたのだった。 
日本に移住して4年、幾つものトレイルレースに参加してきた。そうして、多くの素晴らしい地方 を訪れることができ、数知れぬ愛すべき人々と出会い、その地域の特産物を楽しむこともでき た。私は今、この経験をもとに、外国人ランナーたちが、日本を訪れ同じ思いをしてくれるべく 微力ながらもお手伝いできないかと画策中である。が今回ばかりは、日本の皆さんにこのフラン スでのレースをご紹介しようとこれを書いている。トレイルランナーとして、この「エシャッ ペ・ベル」を経験しないわけにはいかない、それぐらいの価値があるおすすめのレースである。 どうかフランスまで「エシャッペ・ベル」を走りにいらしてください。きっと後悔することはな いはずです。 

できれば完走、または走ってみるだけでも。是非来年のエシャッペ・ベルでお会いしましょう。 

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